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2025年6月11日いのち、暮らしを守る政治へ
山梨民医連は5月25日に第30回定期総会を開催し、総会特別アピールを発表しましたので紹介します。
ケアの視点から、非戦、いのち、
暮らしが大切にされる社会への転換を
私たち医療・介護の現場で働く職員は、その労働を通じて、人の「生きる」を支えるケア労働者です。私たちは「命の平等」と一人ひとりの尊厳が守られるよう日々努力を続けています。
しかし今、医療・介護の現場は、「人手が足りず思うようなケアができない」、「忙しく働いているのに処遇が低すぎる」という深刻な事態が進んでいます。
その背景には、大企業の利益とアメリカ言いなりに軍拡をすすめ、その財源のために社会保障を削減してきた、ケアを大切にしない政治があります。
ケア労働の価値を低め、その対価である診療報酬・介護報酬を下げ続け、その結果、賃上げしたくてもできない、それどころか経営そのものが立ち行かなくなり、昨年1年間の医療機関の倒産・廃業は786件、介護事業所は784件といずれも過去最高です。さらに、国民健康保険料や患者の窓口負担の引き上げなど患者にも負担を押し付け、今国会では、がん患者らの命綱である高額療養費制度の改悪までも企てました。このような政治が続けば、患者・利用者のいのちの尊厳も、私たちのやりがいや誇りも押しつぶされてしまします。
こうした政策を進める政府や与党の政治家は必ず「次の世代にツケをまわせない」「財源がない」と言います。そうであるならば、なぜこの3年間で軍事費だけは3兆円も増額できるのでしょうか(今年度当初予算8兆7千億円)。しかも来年度以降は10兆円を超える軍事費が見込まれています。しかもその中身は、外国を攻撃するための長距離ミサイルの導入、「敵基地攻撃」態勢づくりなど、「戦争の準備」のための予算となっており、周辺国との緊張を高め、戦争の脅威を増大させるものです。
訪問介護の基本報酬の引き下げを元に戻すのに必要な予算はわずか50億円です。潜水艦から発射する誘導弾2発分にも満たない額です。高額療養費制度の負担引き上げは1,580億円あれば回避できます。アメリカから爆買いする戦闘機(1機200億円)を8機削ればおつりがきます。
ないのは「財源」ではなく、国民のいのちと暮らしに寄り添う姿勢です。
いま、まさに「ミサイルかケアか」、日本の針路が問われています。今でさえ日本の軍事費は国連加盟国193ヵ国中第9位(ドル換算)と高水準です。年間10兆円を超える軍拡を進めれば、米中に次ぐ世界第3位の軍事大国になります。「社会保障を削って世界第3位の軍事大国を目指しますか?」私たちはこのことを世に問い、夏の参議院選挙の争点に押し上げ、ケアの視点から、いのち、暮らしを守る政治への転換をめざします。
2025年5月25日
山梨民医連第30回定期総会