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2025年7月15日山梨民医連「経済的事由による手遅れ死亡事例調査」発表
社会的孤立、無保険状態、窓口負担による受診の「壁」
2024年中に5人の「手遅れ死」を確認
山梨民医連は6月3日、甲府市内で記者会見し、2024年の「経済的事由による手遅れ死亡事例調査」で5事例を報告しました。社会的孤立、無保険状態、窓口負担の「壁」などによって受診が遅れ症状を悪化させました。事例は「氷山の一角」であり水面下には多くの「手遅れ死亡予備軍」が存在します。お金の心配なく誰もが必要な医療を受けられる制度をつくる必要があることを強く訴えました。会見には、平田理県連会長、河野智彦県連事務局長、メディカルソーシャルワーカー3人が臨みました。
▼5事例すべてが社会的に孤立した状態だった
今回報告した5事例の共通点は「社会的に孤立した状態」でした。本人や家族が生活や健康上の問題を抱えていても誰にも相談できず、必要な情報も支援も得られない状態にありました。
▼人権保障に逆行する「滞納者への制裁」の問題
国民健康保険料・税を長期に滞納した世帯には医療を制限する制裁措置が取られます(短期保険証・資格証明書の発行)。
▼社会的要因で誰にでもどの家庭でも起り得る
2006年から「手遅れ死亡事例調査」を開始した山梨民医連では、今回の5事例を含め19年間で60もの「手遅れ死亡事例」を報告していますが、その多くが「無保険状態」であり、多くが医療をあきらめていました。
保険証を所持していた場合でも、窓口でどれだけの医療費を請求されるのかを恐れて受診を躊躇する事例や、治療を中断し、市販薬を飲んで苦しみを限界まで我慢し、耐えきれなくなって受診または自分で救急車を呼んで搬送される事例が多数です。
「手遅れ死」は、特殊な事情の人や家庭で起こるのではなく、誰にでもどの家庭でも起り得ます。
会見で河野智彦事務局長は、滞納者への保険証を通じた医療アクセス制限をしないことや、窓口負担増による受診の壁をつくらないことなど、「まずは受診」「命優先」「人権保障」の立場での対応を訴えました。