口腔崩壊は自己責任ですか?『歯科酷書―第4弾―』発表 記者会見で山梨民医連 | 山梨民医連

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2022年12月28日口腔崩壊は自己責任ですか?『歯科酷書―第4弾―』発表 記者会見で山梨民医連

口腔崩壊は自己責任ですか?『歯科酷書―第4弾―』発表 

山梨民医連が記者会見を開き、「人権としての歯科医療」を訴え

山梨民医連は10月6日、甲府市内で記者会見をひらき、全日本民医連歯科部による『歯科酷書―第4弾―』発表を知らせるとともに、そこで示された口から見える社会的困窮の広がりの実態を報告し、人権としての歯科医療をすすめるための提言を行いました。

 

 

コロナ禍で困窮ひろがる

『歯科酷書―第4弾―』では、「口腔崩壊は自己責任ですか? コロナ禍での、つながる、つなげる、人権としての歯科医療」として、全日本民医連に加盟する歯科事業所から報告された事例から特徴的な19事例を紹介しています。

 

▲歯科酷書第4弾より

 

 

全日本民医連歯科部では、1回目の「コロナ緊急事態宣言」が出された2020年4月から2021年4月までの1年間、2カ月に1回(計7回)、「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う歯科影響調査」を実施し、その結果を『第4弾』にまとめました。コロナ禍で、解雇や失業や雇い止めで職を失う人、仕事の減少により経済的困難を抱えている人が増えたこととともに、歯科受診にも困難を抱える多くの人々の実態が見えました。のべ120事業所から160超の事例が報告され、「医療費が払えない」「保険証がない」という事例、「無保険の状態」の事例も16事例報告されました。

 

 

 

今回の『第4弾』で紹介された以外にも、コロナ禍でさまざまな困難を抱えた多くの患者が、山梨や全国の民医連事業所に相談や診療に訪れています。同時に、治療を受けたくても経済的事情などから受診することができないままでいる人々が多数存在することが推察されます。コロナ禍以前から問題視されていた貧困・格差の拡大が、コロナ禍の中でさらに深刻化していることが危惧されます。

 

 

 

公的責任で健康権保障を

『第4弾』で報告された困難事例への対応として、保険証(国民健康保険の短期保険証)発行を受けるための支援の取り組みや、民医連事業所が行う無料低額診療事業を活用した事例、その他、社会資源の活用などにつなげた事例が紹介されました。しかし、「生活保護を申請したが取得できなかった事例」や「国民健康保険証の発行を要請したが、国民健康保険料の滞納を理由に拒否された事例」なども報告されました。

 

 

 

会見で山梨民医連の職員は、「人のいのちにかかわる問題を、〝疾病・貧困の自己責任論〟で済ませることは許されません。国や自治体は、健康権保障に対する責任を果たすよう強く求めます」と訴えました。

 

 

人権としての歯科医療を

全日本民医連歯科部では、リーマンショックをきっかけとした貧困・格差の拡大が口腔に影響を及ぼした状態を「口腔崩壊」と表現し、「口から見える格差と貧困~歯科酷書~」として『歯科酷書―第1弾―』を2009年に発表しました。その後、2012年に第2弾、2018年に第3弾を発表。口から見える格差と貧困の実態と、なくならない健康格差の問題を社会に訴えてきました。

 

 

会見では「口腔崩壊の根本には、健康格差の拡大の問題と、高い医療費負担の問題があります」「歯科医療が健康権(基本的人権)として位置づけられる必要があります」と訴えました。

 

 

 

お金の心配なく歯科受診ができるようにー4つの提言

「人権としての歯科医療をすすめるための、国や自治体への提言」として、以下の4点を訴えました。

▼「全世代型社会保障制度改革」の推進を即刻中止し、国民一人ひとりの人権が守られる社会保障制度を実施すること

▼国の責任を明確にし、高すぎる国民健康保険料を引き下げ、窓口負担(一部負担金)を軽減すること

▼国民健康保険法44条の減免制度を実効性ある制度に改善すること

▼無料低額診療事業への国・自治体の支援を広げ、実施事業所を増やすこと

 

 

 

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